FP試験のあれこれ~1級実技試験へ備える

2022年5月1日

こんにちは、DUNKERQUEといいます。

このブログでは、私のきんざいFP1級合格体験をもとに、
FP1級実技試験(きんざい)を受験する皆さんに、お役に立てるようなことを書いていきます。

FP1級実技試験の実技試験は、まわりに挑戦している人が少なく、試験の手応えがない、
「孤独な闘い」が最後まで続くので、どうしたらよいのか迷ったときに、
このブログを読んで、学習の参考にしていただければと思います。

目次
1.FP1級実技試験では何を審査するの?
2.なにを使って勉強すれば?
3.どうやって勉強するの?
4.合格へのポイント
※試験の概要などはまた改めて・・・


1.何を審査するのか

きんざいのFP1級実技試験で、一番わからないのが、非公表の採点基準です。
でも、何を審査・採点するのかわからないと、対策のしようがないですよね。
きんざいのHPには「ファイナンシャル・プランナーに求められる技能を審査します」とあります。
わかりやすく言えば、『「自分の財産を任せられる人」かどうかを、相談者の目線で審査します』
ということです。

また、きんざいのHPには、審査する観点として、
・関連業法との関係および職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
・顧客ニーズおよび問題点の把握
・問題解決策の検討・分析
・顧客の立場に立った対応

が挙げられていて、採点もこの4項目に分けて行われています。

ところで、受験案内に「華美な服装は避けてください」とあるように、
服装等もなんらかの審査対象となっているようです、基本はスーツだと思います。

まとめ
・きんざいFP1級実技試験では、FPとしてふさわしい人かどうかを審査する。
・採点は非公表だが、一定の基準はある。
・服装はスーツ


2.なにを使って勉強すれば?

実はきんざいのFP1級実技試験向けの問題集については一択です。

・FP技能検定1級実技(資産相談業務)対策問題集 (きんざい)

過去問が3年分収録され、通称「赤本」と呼ばれていました。
最近は年度ごとに、19年度(青本)20年分度(緑本)として出版されています。
受験生する数が少ないからか、他社は出版していません。
元面接官(試験官)や合格者のコメント等も掲載されていて、どれか一冊は必携です。

・きんざいのHP(過去問ダウンロード)

2022年2月試験の問題もここで入手できます。模範解答等はありません。

ほかにも、SNS、ユーチューブ等で情報収集が可能です。
またSNSの参加者同士で模擬試験を行ったりもしているようです。


3.どうやって勉強するの?

FP1級実技試験の学習のポイントは3つあります。
・アウトプットの練習
・深堀の質問に備えた知識の構築
・新分野の問題に備えた情報収集

基本は問題集を利用したアウトプットの練習です。
設問に従って、答えを書き出してみたり、
友達や家族を試験官に見立ててロールプレイングを行うのも有効です。

ところで、先ほどの問題集ですが、
・目次がない
・重複する項目の解説は割愛される

という特徴があります。
なので、各問題の横にインデックスを張ることをお勧めします
(さらに、私は重要な項目について、上にインデックスを追加しました)。

インデックスを貼り、効率よく勉強できるようにしましょう

次に、深堀の問題に備えた知識の構築です。
問題集の解説ページ、学科試験で使用したテキスト、インターネットの情報を利用して、
学科試験の延長だと思って、積極的に知識武装を図っていきましょう。
複数のソースで集めた情報は、ノートにまとめたりして、効率よく学習しましょう。

最後に新分野の問題対策です。
最近の試験ではDESストックオプションといった、新しい問題が毎回出題されるようになりました。
最近よく耳にする項目(M&A、MBO、EBO、医療法人の事業承継、等々…)については概要を押さえておきたいです。

学習方法のまとめ
・回答を書き出したり、誰かに試験官役をしてもらったりしてアウトプットの練習をする。
・問題集の解説等で知識を深める。
・新しい問題への準備をする。

4.合格へのポイント

FP1級実技試験の問題構成は、PartⅠの事業承継、PartⅡの不動産問題と、毎回同じ分野から出題されます。
それぞれの設問もだいたい以下のような場合が多いです。

PartⅠ
①相談者の相談内容、問題点
②それに対する解決策
③FPとして何を提案するか、理由・留意点は
④FPと職業倫理について(6つ)。その内設問に該当する項目はどれか

PartⅡ
①相談者から聞いて確認することは
②FPが自身で調べることは
③個別の質問
④設問に関係してくる専門家は

PartⅡの①③以外は事前に準備ができそうですね。

合格へのポイント
Part Ⅰ
①相談内容は、設問の中に記載されています(「~しようと思っている」「~が悩みのたね」)。
 まさに「顧客のニーズの把握」ができるかが問われています。
 何項目挙げられるか、腕の見せ所です。

 その他の問題点として挙げられるのは以下のとおりです。
 ・相続税の軽減(節税対策)
 ・納税資金の確保(たいていの場合、何らかの対策がないと、相続税を収められない設定になっています!)
 ・遺産分割対策

②解決すべき事柄が決まってくると、当然解決策も決まってきます。
 ・事業承継税制の特例の利用
 ・自社株の買い取り
 ・不動産賃貸事業の法人化
 ・小規模宅地の評価減の特例の利用
 ・生前贈与
 ・遺言の作成
 ・生命保険の相続税控除枠の活用

 M&Aやストックオプション等の難問でも、設問内の人間関係で提案できる対策は決まってくるので、
 イメージを作っておきましょう。

a. 相談者の希望を実現できる方策を選ぶ。
 b.設問のテーマに沿った提案をする。
 b. ②で挙げた項目のうち、節税効果が最も高いものを選ぶ

の3択です。
当然、理由について深堀が予想されますが、設問によっては、DESや、M&Aについて、
明確には示されていない場合もありますので、設問のテーマをきちんと把握したうえで、
質問事項にこたえられるようトレーニングしておきましょう。

④職業倫理は必ず聞かれます。 以下の6項目を答えましょう。
 ・顧客利益の優先
 ・守秘義務の厳守
 ・顧客に対する説明義務
 ・コンプライアンスの徹底
 ・能力の啓発(開発)
 ・インフォームド・コンセント

ちなみに、この職業倫理、いままで6項目と言われてきましたが、
緑本には「能力の啓発」を除く5項目しか載っていません。
2022年2月の試験の際に私が質問されたのは6項目でしたので、6項目でよいと思います。


あわせて「この設例に最も当てはまる項目はどれですか?理由も教えてください」必ず聞かれます。
私の場合は、
「インフォームド・コンセントです。理由は、様々な提案の是非を相談者に判断していただくには、
提案する制度、金融商品の有利な点、不利な点を説明し、
納得していただいたうえで判断していただく必要があるからです。」と答えました。

Part Ⅱ
パートⅡは、不動産の問題です。
つかみどころのない問題が多く、どうしても不動産の情報に注意が行きがちですが、
注意すべきは出題分野が「資産相談業務」であるということです。
そう、不動産だけではなく、あくまでも資産全体が問題です。

①相談者から聞いて確認すること。
 設問が不動産であっても、FPとして資産運用の相談に応じている以上、
 相談者に直接聞く項目として、
 <相談者自身の情報>
 ・資産はどれぐらいあるのか。
 ・家族構成はどうなっているか。
 ・将来的に介護施設に入るつもりはあるか
 ・相続はどうするつもりか(特に、設問に登場した物件)

 <設問の不動産についての情報>
 ・不動産(特に設問に登場した物件)は、将来的にどうするつもりか(売る・賃貸する)
 ・(不動産が複数ある人の場合)今住んでいるところは将来どうするか、
   最後まで住むのか、引っ越して売却するつもりか。
 ・業者の提案に対して、相談者はどう思っているのか。
 ・地歴、近隣との人間関係 等

 といったところを挙げましょう。

②FPがみずから確認すること
 この項目、実は「相談者にもわからないことを確認」するので、ほぼほぼ同じ答えになります。
 ・不動産の謄本、公図、地積測量図等を入手し、権利関係を確認する
 ・現地調査をして、物件に瑕疵がないか、相隣関係はどうなっているかを確認する
 ・近隣の不動産屋などで、不動産の需要を確認する
 ・公法上の規制を確認、
 ・提案内容の妥当性
 ・資金需要がある場合融資は受けられるのか

といったことろでしょうか、
(せいの先生の「権現需公市税提融」という言葉にが有名です。)

③ここは、問題によって設問が異なりますが、

おおむね業者の提案に対してどのようなアドバイスをするか、という問題です。
 a.設問対象の不動産の評価はどちらが上か、
 b.相続が絡んできそうな場合は、逆に節税効果があるかどうか、
 c.相談者は提案内容についてどのように思っているか

 という点に注目して答えましょう。 
(よく、「自分たちが設けることしか考えない不動産屋・銀行から相談者を助けるつもりで」
とか言われます。耳が痛いです・・・)
必ずしも専門的な知識を羅列する必要はないと思いますが、
 設問の不動産が、
 ・土地、建物どっちも自己所有
 ・建物だけ賃貸
 ・土地、建物どっちも賃貸

 のときで、どのように価値が変わるかを、ざっくりと計算できるといいかもしれません。 

④設問の事例に対応する際に登場する専門家名前を答えましょう。
 また、その士業の裏付けとなる法律についても覚えておきましょう
 司法書士 →  司法書士法
 税理士  →  税理士法
 宅地建物取引士 → 宅地建物取引業法
 弁護士  →  弁護士法
 測量士  →  測量法
 土地家屋調査士 → 土地家屋調査士法
 不動産鑑定士 → 不動産の鑑定評価に関する法律
 建築士  →  建築士法

 等々。。。

合格へのポイント、のポイント
・ほぼ固定化された問題、回答があるので、しっかり得点

・設問に沿った回答をできるようにトレーニング

わずか12分×2のテストのためにいろいろと覚えることがありそうですが、
「FP1級」取得までの長い道のりの最後の一歩です。
一日に1点ずつ積み重ねるつもりで、頑張ってください! 


FP試験

Posted by konai_en